オープンハードウェアの足湯

(この記事は http://infosyncratic.nl/weblog/2013/08/29/open-hardware-footbath/ の翻訳です)

横浜で開かれている第9回世界ファブラボ会議のために初めて日本に来ています。第一印象としては日本人って本当に2D表現(さらに写真よりはイラスト)を好むフェーズを脱しないんだなあっていうことと、あと本当にパッケージが好きだってこと。ホテルにはとっても小さい人向けのパジャマが備え付けてあった。(訳者注:彼女は180cmくらいの長身)

会議はローランドDGのスポンサーを受けていたんだけど、この会社は楽器を作る会社から派生して、大判プリンター、ペーパーカッター、ミリングマシンなどを作っている会社。ミリングマシンのMDX-20やビニールカッターのCAMM-1はFablabの標準機械として使われている。会議場のホールに設けられた彼らのブースでは開発中の機械のコンセプトモデルを展示してた。脇に立っているエンジニアへの質問はほとんど通じなかったから、分かってるのは機械の見た目からわかる情報と、あんまり信じてないけど傍に英語で書いてあった説明くらい。

リングマシンのコンセプトは「Arduinoつかえます」。制御基板の横にはArduinoがついてたけど、困惑しちゃった。
基板のデザインはでっかくてごちゃごちゃしてる(スペイン語ではバックパックっていうのよ)。Arduinoの傍には4つのAllegra A4982ステッピングモータドライバ(これは良し)、STM32F103ボード(何か変ね)、SparkfunのUSBホストブレイクアウトボード(Arduinoのためだけ?)が付けられてた。限られたコミュニケーションの努力の成果から言うと、ARMコアはローランドDGの内部コードが走っていて、ArduinoからのアクセスをAPIで受けるようになってるみたい。JTAGインターフェースとかはついてないみたいだけど、ステッピングモータードライバを接続してるピンがわかればSTM32は直接書き込めるんじゃないかしら。
ポジティブな精神に則って、この恐ろしいブツの良いパーツを挙げていくところから始めましょう。なんたってローランドがオープンハードウェアの世界につま先を踏み入れようとしてるんだから!まず、最近の大勢のプロダクトデザイナーと違ってUSBホストを実装してること!オペコードを受けるプロセッサーを使ってること!(あなたアップルのスパイじゃないでしょうね、見てるわよ)ローランドは私達が家や小さい工房で使う工作マシンに対して低レベルのハードウェアアクセスを望んでいることをわかってる。これは期待できるわね。

さあそして次は批判よ。非公開のファームウェア上で走るAPIは無いよりマシだけど、ハックする観点からは悲しい状況ね。あとこの制御基板って私のラップトップと同じくらいでかいんですけど(はいはい冗談です。私はThinkpad w530を持ってるけど、これって雪ぞりの2倍くらいの大きさだから。でも私の超スマートな小型ラップトップと同じくらい大きいのは確かよ。でも救命ボートよりは軽いけどね。話がそれちゃった)他にも、Arduinoって本当に必要?必要なブラックボックス化を施して省電力でSTM32を直接プログラミングするためのクロスプラットフォームIDEを作るのは無理だったのかしら?STM32はネイティブでUSBをサポートしてるからUSBホストシールドは要らなくなって、全体の大きさは半分になるでしょう。たぶん余分にI/Oピンを出したかったからArduinoを使ってるんでしょうけど、それってSTM32でも直接できるわ。

いずれにせよ、私のリクエストにも関わらず(通じてるか通じてないのかわかんないけど)個人的に試すための制御基板を彼らからはもらえなかったわ。私がキャンキャン吠えてるのが正しいのか、そうでないのかはしばらくは闇の中。
これはローランドDGのR&Dエンジニアリングチームがさよならって手を降ってくれてる写真。
日本人のホスピタリティは全く新しいサービスの次元だった。ああ、誰かもうちょっと早く起動するデジカメ作ってくれないかしら、ブレちゃうのよね。

FAB9で展示されてた他の基板はルネサスが作ってる32ビットのRISCプロセッサ(RX63N)のブレイクアウトボードで、サクラボードっていうやつ。色がピンクなの!日本っぽい!Webベースのコンパイラを使ってるからツールチェインを構築する手間はかからないけど、良いことと悪いことがあるわね。100GJAかRL78プロセッサがついてる16ビットのブレイクアウトボードもあった。少し遊んでみたけど、このプロセッサについて理解を深めるよりもまず、このボードの今後の入手性について知りたくなったわ。だってオンラインのドキュメントはあまり充実してなくて、たぶん日本国内のマーケット向けなんだろうなって感じだったから。

Rolandの他にもKORGヤマハ、そしていくつかの楽器メーカーが浜松にあった。KORGはシンセパーティみたいなのをFabCafeでやってたから行ってみたんだけど、彼らはKLM-3116のプリント基板、回路図の一部のJPEGファイルをくれたわ。いいわ、もう一度言うけどね(特に深圳の人は読みなさい)、スキルを持った誰かに何かのプロダクトを再生産してもらうためにオープンソースにしたいんだったら、正しい方法でやりませんか?パーツリストもなし、PCBレイアウトのドキュメントもないってどういうこと?これはちょこっと金属が載っかった無意味なプラスチックにすぎないわ。

オープンソースハードウェアサミットがMITで来週開かれる。この残響がやってこないことを祈るわ。あなたが立ち寄って一緒にグルーブしたいなら連絡してね。